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二つの軸を持ち続ける、俳優・千葉一磨

この度インタビューにお答え頂いたのは、俳優・千葉一磨(@chiba_kazuma)さん。現在も早稲田大学大学院に在学中の、俳優との“二足のわらじ”で精力的に活動されている方です。

映像作品から舞台まで役者として幅広くご活躍される一方、大学院での研究は受賞歴も多く、それぞれの分野で成果を残しています。

千葉さんはちょうど、昨年2019年から舞台でのお芝居に力を入れてきました。新型コロナウイルスで影響を受けざるを得ない、舞台演劇。その影響を目の当たりにした千葉さんは、未来に何を思うのでしょうか。
無限の可能性を抱く千葉さんに、この度はお話をお伺いしました。



芸能も学業も、まずはできるところまで


千葉さんはいわゆる“子役出身”の方。5歳の頃から事務所に所属し、親御さんと共にお仕事をしてきました。はじめはご自身が進んでやっていたわけではないそうですが、次第に自分ごととして取り組んでいくようになります。

千葉さんを一躍有名にしたのは、教育テレビの長寿番組「天才てれびくん」。レギュラーメンバーとして、4年間勤め上げます。現在のファンの方にも、その頃千葉さんを知った方も多いそうです。

その後も芸能活動を続け、学業も優秀だった千葉さんは早稲田大学に進学しました。理系の学部に進むことで、忙しさを予感していたものの、「まずはできるところまでやってみよう」と、二足のわらじでの活動を決めます。

そんな芸能活動、役者としての活動で千葉さんが意識しているのは、“自分という根幹をぶらさないこと”だと言います。

「例えばお芝居をやっていて、よく『真面目だね』と言われました。それも『殻を破れていない』という意味で言われることが多く悩んでいたのですが、“真面目さ”は様々な解釈ができると気づいたんです」

真面目な様子が、情熱的に映る。
真面目なあまり、笑いを誘う。
真面目なひたむきさに、恐怖を感じさせる。

「だから、自分以外の何かになりきることを意識するのではなく、あくまで自分でありながら、役を演じるということを大切にしています。
……まあ、それも含めて実験中なんですけどね。わからないなりに色々なことをやっていく、でいいのかなと思います」

トライアンドエラーで確実に。研究分野にもきっと共通するその意識が、ここでも垣間見えるのでした。





卒業と重なった、コロナの影響


多くの才能を芽生えさせる千葉さんは、大学院ご卒業後の進路を決めたのはごく最近だそう。
世間的にも優秀な大学として知られ、周囲は有名企業に就職を決める方も多く、そう簡単に一つには絞れませんでした。

「今まで芸能が研究に、研究が芸能に良い影響を与えたらいいなと思って、どちらにも力を入れてきましたから」

千葉さんが最終的に選んだのは芸能界。新型コロナウイルスが猛威をふるいはじめたのは、そんな大学院の卒業を約半年後に控える、2月頃のことでした。

「去年から舞台のお仕事に力を入れていたので、正直スケジュールは狂ってしまいました。周囲に頭を悩ませている方も多いです」

一方で、千葉さん自身はそこまで悲観的にはなっていません。

「幸いなことに、僕自身は金銭的な損害があったわけでもないので、オンラインコンテンツなどやれることはたくさんあります。
それに、舞台演劇でのプロモーションの仕方は、良い方向に変わっていくんじゃないかと思っています。
これまで演劇の世界はクローズドな、“知る人ぞ知る”世界でした。でも今は動画配信をするなど、演劇界もこれまでやってこなかった方法を試しています。そうしていくうちに、新たなビジネスの仕組みが作られていくのではないかと、期待しています」

“新たなビジネス”その一つとして、千葉さん自身も「できたらいいな」と思っていることがあるそうです。まだ実行に移すには時間が必要ですが、新たな挑戦を始めた演劇界を、千葉さんもご自身なりに応援したいと考えています。



千葉さんのオンライン一人芝居の様子



更に、千葉さんはこれまで大学や大学院で研究してきたことも活かしていきたいと語ります。
実は千葉さんが大学院で受賞した実験テーマは、“舞台機構”のアイデアでした。
簡単に言うなら、場所によって見えるものが変わるという、舞台のギミックです。役者さんというよりは演出家さんに近しい取り組みにも思われますが、そこの垣根もなく、様々なことに挑戦していく未来を夢見ます。

「新型コロナの影響で、残念ながら生の舞台を見る機会は減っていくかもしれません。
でも映像化はもちろん、他の媒体が発達するかもしれませんし、この装置を活かせる機会は沢山あるのではないでしょうか」

固定概念を覆す、わくわくするような装置のアイデア。その根本は、千葉さんの“好きなもの”でした。
大学に進学する際、千葉さんが思い描いていたのは“SFっぽいこと”。

「最近はそれを意識することもなかったのですが、最終的な研究テーマがこのような装置になったというのは、その気持ちが続いていたのかもしれません。
なので、演出なのか、役者としてなのかわかりませんが……いずれはそういうこともしていけたらいいな、と思っています」

“SFみたいなこと”、これはまさに千葉さんが選んだ、芸能の世界だからこそできることかもしれません。
失われてしまった機会は認識しながらも、柔軟に別の可能性を探るその姿は、眩しく輝いています。



「優しい人ばかり」ファンの方への想い


10年をゆうに越える、長い芸歴。そして挑戦を続ける未来に向け、ついて来てくれるファンの方は、千葉さんにとってどんな存在なのでしょうか。

「支え、です。本当に感謝しかありません。10年以上支えて頂いている方もいらっしゃって……」

舞台後の挨拶など、ファンの方と接する時は、“ファンの視点”を忘れないようにしているそう。出演者とファンとの距離が近くなっている昨今、自分が誰かのファンだったら、どんな風に対応されたいか、どうされたら悲しいか――千葉さんはそこまで考えています。

「僕の前で話せなくなってしまう方もいらっしゃったりするのですが、そういう時は時間をかけてお話を聞きたいなと思っています」

その時のことを思い出しているのか、優しい声色で、そのままファンの方への感謝の想いをお話下さいました。

「日頃、地方の方がわざわざ東京までお越し頂いて、自分の舞台を見て下さったり、本当に感謝しています。
天才てれびくんにいた頃の自分と、天てれほどの影響力を持っていない自分について、『千葉くんはコンプレックスを抱えているんじゃないか』なんて先回りして心配してくれる方もいて……本当に優しいファンの方ばかりで、心から励みになっています。
これからは既に知って下さっている皆さんとの繋がりをより深くしていきたいと思っています。
でも、より多くの人に僕を知ってもらいたい、と言って下さる暖かいファンの皆さんの期待に応えられるよう、活動していきます。本当に、ありがとうございます」



インタビューを終えて


幼い頃から芸能活動を続ける千葉さんの芸歴は当然長いものの、それを意識することは少ないそう。未だ多くの現場で年若いこともあり、「新人の気持ちで」臨んでいるそうです。
インタビューでの腰の低いご様子からは、その姿勢が伝わってくるようでした。

学業も優秀、芸能業も幅広くこなす背景からは、天狗になってもおかしくはないように思われますが、そのような気配は皆無。Sakaseruスタッフからの質問に、“真面目に”、真摯に答えて下さいました。

その中で特に瞳を輝かせてお話してくださったのは、千葉さんが考案された舞台装置の展望についてでした。もしかすると千葉さんがエネルギーを向けるものは、“学業”と”俳優業”から、間もなく“俳優業”と“舞台装置の実用化”に変化するのかもしれないと感じました。

いつかウイルスも収まり、千葉さんが舞台の仕組みに関わるようになったその日がとても楽しみです。
どうしても悲観的になりがちな今の状況で、明るい未来のお話を聞かせて頂きました。

千葉さん、改めましてこの度はお忙しい中お時間頂きありがとうございました!
Sakaseruスタッフにもぜひ、今後のご活躍を応援させて下さい。引き続きどうぞよろしくお願いいたします…!



今回の取材の様子。Zoomを使って行いました。




【取材・執筆】Sakaseruアスカ
【写真】ニチエンプロダクションご提供


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